植木・庭木の手入れ

シャクナゲの花が咲かない、元気がない。どうすればいいの?

2019年10月24日

「シャクナゲの花が咲かない…」「最初の頃は咲いたのに、ここ数年は咲かない…」「花が咲く年と咲かない年がある…」シャクナゲは見事な花を咲かせる樹種ですが、しっかりと管理しないと花が付きません。「肥料不足」「植え替え直後」「花がら摘みをしていない」「開花による疲労」「害虫被害」などが考えられます。ひとつずつ原因と対策方法を解説します。

※この記事は庭植え管理方法の解説です。鉢植えとは異なりますのでご注意ください。

シャクナゲの花が咲かない理由

肥料不足

肥料が足りない

「植えてからほとんど手入れをしていない」「最初は花が咲いたのに、ここ数年は全然咲かない」ということであれば肥料不足が考えられます。植物全般に言えることですが、花を咲かせるには沢山のエネルギーが必要になります。肥料を与えないと体力が無くなり、翌年以降花が付かなくなります。

肥料は年3回与えます。冬の寒い時期(2月)に寒肥として有機肥料(鶏糞、堆肥、油かすなど)、または緩効性の化成肥料を与えましょう。寒い時期は根の活動が緩やかになるので、肥料焼けする心配がなく、春先に向けて肥料成分が土に浸透します。

花が咲いた後(4月下旬~6月)にお礼肥をあげましょう。これも上記と同じく有機肥料か、緩効性の化成肥料でOKです。花を咲かせた後のシャクナゲは疲労しているため、エネルギー補給が必要です。

秋ごろになると気候が落ち着き、株が充実してきます。この時期の施肥も効果的です。これまで同様、有機肥料か、緩効性の肥料を与えましょう。

庭木の肥料

庭植えの場合は樹幹(葉が茂っている部分)に沿って地面に根が伸びています。枝先の真下を10~20cm掘って肥料を埋めると良いでしょう。

オススメ肥料

シャクナゲの花芽増加にニワユタカ

シャクナゲの肥料にはニワユタカがオススメです。ニワユタカは7種の必須栄養素 (モリブデン、鉄、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ホウ素、ケイ酸) が配合された特殊肥料です。「花芽増加」「樹勢回復」「健康維持」に優れた効果を発揮します。

ニワユタカの特徴は何といっても7種の必須栄養素です。市販肥料のほとんどはチッソ、カリ、リン酸が主成分になっています(ご飯、パンのようなものです)。しかしこれらを長年の与え続けていると栄養が偏ってしまい、生育不良になってしまいます。ニワユタカは欠乏しがちな必須栄養素7種(人間で例えると野菜、果物、魚のようなものです)を効率良く吸収できるため、栄養バランスを整え、保水性向上、代謝能力向上などが見込めます。花芽を増やしたい場合にオススメです。

※庭木用です。鉢植え、盆栽、草花には使用しないでください。

植え替え直後

「最初は花が咲いていたのに、最近は咲かない…」「植え替え直後の若いシャクナゲ」は花が咲かない場合があります。基本的に花木は成長が止まると花が咲くようになっています。店売りの狭い鉢に植わっている時は成長が止まって花を咲かせますが、大きな鉢や、庭に植え替えると再び成長を始めて花を付けなくなるのです。

若いシャクナゲは成長するのに体力を使うため、花を付けるエネルギーが残っていません。通常3年ほどで成長が止まり、花をつけ始めるのですこし様子を見ましょう。葉の色ツヤがよければ花を付けなくても心配する必要はありません。

花がら摘み

花がら摘み

花後に残った花がらは早めに摘み取りましょう。残しておくと実を付けようとしてエネルギーを消費してしまい、翌年の花付きが悪くなります。花の根元にある子房(実になる部分)までしっかり摘み取ってください。花が終わったらできるだけ早めに作業を行いましょう。

剪定

剪定の時期に注意

シャクナゲは4~7月に新芽が出て新しい枝になり、7~8月にその先に花芽が付きます。夏に付いた花芽は翌年の春に開花します。夏以降~翌年春までの間に剪定で枝先を切ってしまうと、花芽も一緒に落としてしまいます。夏以降の剪定は避けてください。

シャクナゲは花の後に新芽が出て枝になります。花がら摘みと同時に芽も摘み取って樹形を整えましょう。基本的にまっすぐ伸びようとする物を摘み取り、腋から生える物を残すとこんもりとした樹形になります。

開花による疲労

開花による疲労

シャクナゲは花を沢山咲かせると疲労してしまい、翌年の花が咲かなくなる場合があります。これを「隔年開花」といいます。読んで字のごとく、1年おきに開花と休憩を繰り返す現象です。

7~8月に花芽が付きますので、全体の半分ほど落とせばエネルギー消費を抑えられます。こうすることで毎年花が咲くようになります。蕾が大きくなる7月~翌年3月までの間に行えばOKですが、蕾が大きくなるほど無駄なエネルギーを使うことになるので早めに摘んでおきましょう。摘蕾とも呼ばれます。

蕾が開かずに落ちる

蕾が開かずに落ちる

蕾ができたにも関わらず、大きくならずに茶色くなって落ちてしまう場合があります。これはベニモンアオリンガという害虫による被害です。蕾に穴を開けて入り込み、柔らかい芯を食害します。ベニモンアオリンガは蕾の他にも新芽を食害する非常に厄介な害虫です。

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ベニモンアオリンガの駆除にはスミチオン乳剤が効果的です。家庭園芸からプロ農家まで使われている定番商品です。ただし防除効果は無く、発生後の駆除がメインになります。

まとめ

  • シャクナゲの花が咲かない場合、まずは肥料不足が考えられます。年3回、2月、5月(花が終わったあと)、10月に肥料を与えましょう。
  • シャクナゲの肥料はニワユタカがオススメです。花芽増加、樹勢回復に効果があります。
  • 植え替え直後は成長にエネルギーを使うため、花が咲かない場合があります。
  • 花が咲いた後に花がらを残しておくと実を付けようとして体力を消耗してしまいます。花が終わった後の花がらはすぐに摘み取りましょう。
  • シャクナゲの花芽は7~8月に出来上がり、翌春に花を咲かせます。夏以降に剪定で花芽を落としてしまうと花が咲かなくなるので注意してください。
  • シャクナゲの花を咲かせすぎると疲労してしまい、翌年花が咲かなくなることがあります(隔年開花)。毎年咲かせたい場合は新芽~蕾のうちに半分ほど取り除いてください。
  • 蕾のまま開かずに落ちてしまう、蕾が茶色く変色している場合はベニモンアオリンガという害虫被害の可能性があります。スミチオン乳剤を撒いて駆除してください。

シャクナゲの花芽増加にニワユタカ

※庭木用です。鉢植え、盆栽、草花には使用しないでください。

  • この記事を書いた人
kase01

加瀬

7年ほど造園資材、清掃資材の販売に携わっています。除草剤、苔駆除剤、植木肥料、消臭剤、清掃資材などをプロ目線でご紹介します。庭園管理士の資格所持。 【詳しいプロフィールはコチラ】

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