剪定で出た大量の枝を何とかしたい…。果樹園農家さん、造園業者さん、森林組合の方にとっては深刻な問題だと思います。昨今は野焼きが禁止されており、剪定ゴミの処分にもお金がかかります。燃やすことができれば手間もお金もかからないのに…って思いますよね。実は「炭焼き」の扱いにすれば野焼きに該当しないのです。さらに炭も再利用できて一石二鳥です。
目次
剪定枝、剪定ゴミを燃やすと野焼きになる?
一般家庭ゴミ、剪定ゴミを燃やすと野焼きになります。地面に置いて燃やす、穴を掘って燃やす、ドラム缶に入れて燃やす、ブロック塀で囲んで燃やすなどは全て野焼きです。このようにして燃やすと低温燃焼(200~300度)によりダイオキシンなどの有害物質が出る恐れがあります。また、煙により近隣住民に迷惑がかかります。そのため野焼きは禁止されています。
野焼きの例外
(廃掃法第16条の2第3号、同施行令第14条)
・国や地方自治体が施設管理を行うために必要な場合
例)河川・道路管理上で必要となる草木等の焼却 など
・災害の予防・応急対策・復旧のために必要な場合
例)災害などの応急対策、火災予防訓練 など
・風俗習慣上・宗教上の行事を行うために必要な場合
例)どんと焼き、不要となったしめ縄・門松などを焚く行事 など
・農業・林業・漁業でやむを得ず行われる廃棄物の焼却
例)稲わら、焼き畑、畔の草、下枝、剪定枝の焼却 など
・たき火その他日常生活で通常行われる場合で軽微なもの
例)暖をとるためのたき火、キャンプファイヤー など
※風呂焚き、炭焼き窯、薪ストーブはごみ焼却炉にあたりませんが、家庭ごみを燃やすことは禁止されています。
農業や林業で出る剪定ゴミ、農業残渣(作物ゴミ)は例外的に燃やすことが許可されていますが、近隣住民から煙の苦情が出るため、近年では農家の方も清掃センター(有料)に持ち込んで処分しているようです。
また、炭焼きや風呂炊き、薪ストーブなどは例外的に許可されていますが、コチラも「煙を出さないこと」「近隣住民に迷惑をかけないこと」を前提に許可されているようです。
そこでオススメなのが煙を出さずに炭焼きすることです。炭焼きすることで「野焼き」になりませんし、煙も出さないので近隣住民の迷惑にもなりません。剪定ゴミを簡単に処分することができます。
煙の出ない炭焼き器がオススメ
剪定ゴミを燃やすなら「無煙炭化器」がオススメです。炭焼きというと大型の炭焼き窯を用意しなければいけないイメージがありますが、そんなことはありません。これを使えば庭先で簡単に炭を作ることができます。すり鉢状で底に穴が空いたような単純な構造をしていますが、ストーブメーカーが研究に研究を重ねた特殊構造になっており、火を入れると内部温度は800~900度まで上昇します。
何より、煙がほとんど出ないので近隣住民の迷惑になりません。剪定ゴミ処分のために、全国の市町村・行政・森林組合に導入されています。
何故煙が出ないの?
煙が出ない秘密はこの形状にあります。内側に渦を巻くように空気の流れができるため、炎が内側に向かって燃え上がります。未燃焼ガス(煙)が内側に巻き込まれて再燃焼し、完全燃焼することで煙が出なくなります。
また、炭焼き器はステンレス製なので熱反射により内部温度が非常に高く(およそ800~900度)なります。高温で一気に燃やすため、ほとんど煙が出ません。
内部の剪定枝は高温で焼かれることで酸欠状態になり、炭化が進みます。普通の炭焼き窯だと完成まで半日~1日かかりますが、「無煙炭化器」なら容器一杯分の炭がおよそ30分で焼きあがります。
本当に野焼きにならないの?
「無煙炭化器」は製作したストーブメーカーが農林水産省に確認を取っている商品です。以下メーカーカタログより引用
2013年4月に農林水産省を訪問。地球環境対策室より、炭焼き器は環境対策の観点から非常に有効な手段であり、「野焼きではない」との見解をいただきました。
このように、農林水産省確認済みの商品なので安心して使えます。
実際に剪定枝を燃やしてみました
実際に剪定ゴミを燃やした様子をご紹介します。
準備するもの
- 無煙炭化器
- 剪定枝(よく乾燥させたもの)
- ダンボール
- ライター
- 軍手
- 消火用のホース、バケツ
用意するものはこれだけです。「無煙炭化器」以外は特別な物は必要ありません。剪定枝はよく乾燥させた物(1~2か月乾燥させた物)を使用してください。水分が残っていると燃えにくいですし、大量の煙が出ます。また、枝は太すぎると中まで炭化するのに時間がかかります、太さ5cm未満の物が望ましいです。
剪定枝、剪定ゴミは燃やせますが、家庭ゴミを燃やすと野焼きになるので絶対に投入しないでください。
剪定ゴミを燃やす
「無煙炭化器」をセットします。大きな火柱があがるので、火災の心配の無い十分に広い場所で作業を行ってください。平らな土の上が望ましいです。底部に隙間があると空気が入ってしまうので、土に押し込むようにねじりながら置いてください。どうしても隙間ができてしまう場合は土を盛ってください。
コンクリートの上に設置することもできますが、炭で表面が黒くなってしまうので注意しましょう。アスファルトは避けてください(アスファルト表面が焼けてしまいます)
ダンボールを入れて火を点けます。ダンボールは火が点きやすいので着火剤にオススメです。
炭焼き器に剪定枝を投入します。よく乾燥した物を使用してください。空気が入るように置き方に注意しましょう。火の勢いが弱い(火力が弱い)最初のうちは少し煙が出ます。
容器がいっぱいになるまでどんどん剪定枝を投入します。炭焼き器は中の物が燃えやすい構造のため、写真のように大きな火柱が上がります。火の勢いが強くなると煙が出なくなります。
炭化が進むと徐々に火の勢いが弱くなります。火が出ている部分は未炭化の枝ですので、十分に火が小さくなるまで待ちます。ただし、あまり時間をかけすぎると上部から灰化(白っぽくなる)してしまうため、いつまでも火がでている枝は取り除きましょう。火が小さくなったら中身をかき混ぜ、中まで黒くなっている(炭化している)のを確認します。ここまで約30分です。(強火で一気に燃やすので短時間で炭が作れます)
最後に消火します。炭が濡れても良いなら水をかけるのがオススメです(炭が濡れると乾くまで火が点かなくなります)。炭に水をかけると湯気がでますので、湯気が出なくなるまでたっぷりの水をかけてください。炭は火が残りやすいので、時間を置いて繰り返し水をかけてください。15分ほどで消火できます。
炭を濡らしたくない場合は、ドラム缶に移して蓋をして密閉するか、炭焼き器の上から土を被せて酸欠状態にしてください。そのまま丸一日放置して消火するのを待ちます。翌日、容器を触り全体が十分に冷たくなっているのを確認してください。炭は火が残りやすいので十分注意して作業を行ってください。
完成した炭です。上部は少し灰化してしまいましたが、中身は真っ黒な炭になっています。炭は火が点きやすいので燃えない容器に入れて保管してください(布の袋などはやめましょう)。また、保管場所の近くに燃える物を置かないでください。
動画で確認したい方はコチラ
動画で確認したい方はコチラ。
炭の利用方法
炭の利用方法はいろいろありますが、農地(家庭菜園)の土に混ぜるのがオススメです。炭は多孔質(細かい穴が沢山開いている)なので通気性と保水性に優れ、土に混ぜることで植物の根張りが良くなります。また、土中の微生物が増え、土が元気になります。
炭は政府指定の土壌改良材認定品であり、農家の方がお金を出して買うほどの優れ物です。不要な剪定枝を炭にして、土壌改良材として再利用しましょう。
炭焼き事例
千葉県柏市にて梨農家様から出た剪定枝を炭焼きした時の様子です。市役所職員立ち合いのもと、炭焼きの有効性を検証するため炭焼きを実施しました。毎年大量に出る剪定枝の処分費用削減、煙の公害対策、野焼き対策の一環として試験を行いました。
持ち込まれた687kgの剪定枝を炭焼きし、86kgの炭を作りました。持ち込まれた剪定枝は剪定後2~7日のもので水分を多く含んでいたため多くの煙が出ましたが、しっかりと炭化させることに成功しました。(十分に乾燥した木材であれば煙は出ません。)
出来上がった炭は農家様に持ち帰っていただき、土壌改良材として再利用しました。
まとめ
- 剪定枝を「炭焼き」すれば野焼きになりません。
- ただし、煙が出ると近隣住民から苦情が出るので注意しましょう。
- 「無煙炭化器」がオススメです。
- 十分に広い場所であれば、どこでも炭焼きできます。
- 出来上がった炭は土に混ぜれば土壌改良材として役立ちます。
- 家庭ゴミは燃やさないでください!野焼きになります。
今回は剪定枝を燃やす方法についてご紹介しました。普通に燃やすと野焼きになりますが、「炭焼き」にすれば野焼きになりません。「無煙炭化器」がオススメです。市町村、行政、森林組合など幅広く導入されており、森林整備で役立っています。「毎年大量の剪定枝が出る」、「剪定ゴミの処分に困っている」そんな人にオススメです。
商品ページ | 品名 | 容量 | 価格(税込) |
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無煙炭化器 50サイズ【送料無料】 | 565×210mm 家庭用 (35リットル) 1.8kg |
27,500円 | |
無煙炭化器 100サイズ | 980×340mm 農家用 (167リットル) 7.2kg |
66,330円 | |
無煙炭化器 150サイズ | 1480×450mm 竹林整備用 (533リットル) 16.6kg |
152,460円 |